行政書士として独立開業する際、事務所の名前（屋号）をどう決めるかは重要なポイントの一つです。
事務所名は、クライアントにとって最初に目にする情報であり、信頼性や専門性を伝える大切な要素となります。
また、一度決めると変更が難しいため、慎重に選ぶ必要があります。
今回は、行政書士事務所の名前を決める際のポイントや注意点について解説します。
行政書士事務所の名前を決める際の基本ルール
行政書士事務所の名前を決める際には、以下の基本ルールを理解しておくことが大切です。
以下で基本ルールについて紹介します。
「行政書士」を含める必要がある
行政書士法により、事務所名には「行政書士」という名称を必ず含めることが義務付けられています。
単に「○○事務所」や「○○コンサルティング」といった名前では不十分であり、「○○行政書士事務所」と明記する必要があります。
▼例
◎「田中行政書士事務所」
◎「ABC行政書士法人」
×「田中事務所」→「行政書士」が含まれていないためNG
すでに使われている名前を避ける
事務所名を決める際は、他の行政書士事務所と同じ名前は避けましょう。
特に、同じ地域内で既存の事務所名と被ると、クライアントが混乱したり、信用に関わる問題が発生したりする可能性があります。
事前に、日本行政書士会連合会の公式サイトやGoogle検索を活用し、同名の事務所がないか確認しましょう。
また、法人化する予定がある場合は、法務局の「商号登記」や特許庁の「商標登録」のチェックも忘れずに行いましょう。
行政書士の品位を損なわない名称にする
行政書士法に基づき、事務所名は社会的信用を損なわないものでなければなりません。
たとえば、誇張表現や誤解を招くような名前は避けるべきです。
▼NG例
「日本一の行政書士事務所」 → 誇大広告になり得る
「スピード解決！行政書士オフィス」 → 確実な成果を保証するような表現は不適切
「弁護士法人○○行政書士事務所」 → 弁護士と混同される可能性がある
適切な名前を選ぶことで、事務所の信頼性を高め、安心感を与えることができます
行政書士事務所の名前を決める際のポイント
行政書士事務所の名前を決める際は、以下のポイントを考慮しながら事務所名を決定しましょう。
- 個人名を使う
- 地域名を入れる
- サービスの特徴を入れる
事務所名を決める際は、単にルールを守るだけでなく、クライアントにとって分かりやすく、覚えやすい名前を選ぶことも重要です。
個人名を使う（例：田中行政書士事務所）
シンプルで分かりやすく、個人のブランドを強調できるのが、個人名を使うメリットです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| クライアントに覚えてもらいやすい | 代表者が変わると名前を変えづらい |
| 信頼性が高まりやすい | 規模が拡大すると「個人事務所」のイメージが強くなる |
| 他士業との連携もしやすい |
特に、行政書士業務は士業としての信用が重要なため、代表者の名前を事務所名に入れることで、安心感を与えられます。
地域名を入れる（例：横浜行政書士事務所）
地域名を入れると、地元のクライアントに親しみやすさを感じてもらえるというメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| SEO（検索エンジン対策）に有利 | 事業エリアを拡大した際に、別の地域での展開がしづらい |
| 地域密着型の事務所として認識されやすい | 他の事務所と名前が被りやすい |
| クライアントの信頼を得やすい |
特に、相続手続きや建設業許可申請など、地域に密着した業務を行う場合に効果的です。
サービスの特徴を入れる（例：相続専門行政書士事務所）
事務所名に専門分野を入れると、ターゲットを明確にし、クライアントにとって分かりやすい名称にできます。
たとえば以下のような名前が挙げられます。
- 「相続手続き専門 行政書士事務所」 → 相続関連に特化
- 「外国人ビザ専門 行政書士オフィス」 → 入管業務に特化
| メリット | デメリット |
|---|---|
| どんな業務に強い事務所なのかが一目で分かる | 事業の幅を広げる際にイメージが固定化される可能性がある |
| クライアントが検索しやすい |
特に、競争が激しい業界では、他の事務所との差別化につながります。
事務所名を決める際の注意点
事務所の名前を決めたら、ホームページのドメインが取得できるか確認するも重要です。
たとえば「○○-gyosei.com」などのドメインがすでに取得されていると、インターネット上でのブランディングが難しくなります。
商標登録されていないかもチェックしておきましょう。
また、あまりに長い事務所名は、覚えにくく、名刺やホームページにも収まりにくくなります。
できるだけシンプルで、伝わりやすい名前を心がけましょう。
行政書士事務所の名前は慎重に決めよう
行政書士事務所の名前は、事業のブランドを築く上で非常に重要な要素です。
「行政書士」を必ず含める、誇大表現を避ける、他事務所と被らないようにするといったルールを守るのもちろん、個人名・地域名・専門性の強調といった要素をバランスよく取り入れることで、信頼性のある事務所名に決められるでしょう。
また、開業時には適切なオフィス環境も大事です。
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